しばらく無言で桜を見上げていた二人。やがて美桜が口を開いた。
「来世で……もし、また出会えたら。」
その仮定が現実味を帯びて聞こえ裕紀は目を伏せた。
「同じ職場で働けたら、楽しいだろうなぁ。」
「美桜……」
「あなたが診察室で患者さんを笑顔にして……」
「美桜が助手席でカルテ整理してたり?」
「そう!毎日バタバタして……でも、それはきっときっと、幸せな毎日でしかないよ。」
彼女の想像が裕紀の心に暖かい灯をともした。
だが同時に現実の残酷さが胸を刺す。
「そうだね……」
「うん」
美桜は静かに頷いた。二人の間に重い沈黙が落ちる。
「あと、一つだけお願いしてもいい?」
その問いに裕紀は即答した。



