「美桜……本当に大丈夫なのか?」 病院の車椅子を押しながら裕紀は心配そうに尋ねた。 美桜の体力は限界に近かったが、彼女の瞳には強い意志が宿っている。 「うん、今日だけは……我儘を聞いてほしいの」 そう言った彼女の声は弱々しくも凛としていた。 看護師たちの制止を振り切り、裕紀は愛する妻を病院近くの公園へ連れてきた。 そこには、満開の桜並木が彼らを出迎えていた。