「誠に、残念ですが……」
医師の言葉は霞がかかったように遠く聞こえた。
白衣の男がパソコンの画面に写るCT画像を指差している。
腹部に広がる不自然な影が裕紀の目に飛び込んできた。
「膵臓癌です。しかも肝臓にも転移しています。ステージⅣですね」
点滴をされ、病院の診察室のベッドで横になっている美桜は言葉を失い、青ざめた顔をしている。
震える手で布団のカバーを握りしめていた。
「標準治療として抗がん剤がありますが……」
医師が言いよどむ。
その意味は専門家志望の裕紀には痛いほど分かっていた。
「効果は限定的だと?」
「率直に申し上げると、延命効果はあるかもしれませんが副作用が非常に強い。そして……」
一呼吸置いて医師は続けた。
「予後は極めて不良です。正直にお話しすると……平均生存期間は長くても半年程度かと」



