桜のような、けれどもっと優しく温かい匂い。 それが彼女自身の香りなのだと気づくのに時間はかからなかった。 「じゃあ……僕はこれで」 そう言って立ち去ろうとしたとき、彼女の声が背中に届いた。 「待って。もし時間があればお茶でもしない?」 心臓が跳ね上がる音が聞こえた気がした。 振り返ると、美桜は少し頬を赤らめながら続けた。 「有澤君のこと、もっと知りたいし」 その言葉に導かれるように、僕は頷いていた。