言葉にしてしまった瞬間、すべてが解放されたように感じた。この瞬間のために生きてきたのかもしれないと思うほどに。
顔がくしゃくしゃになる。美桜は泣きながら笑っていた。
「バカ……なんで今言うのよ」
「ごめん。でも今しかないと思ったんだ」
雨の中、傘の下で二人は長い抱擁を交わした。
お互いの体温を感じながら、それぞれの喪失と新たな始まりを共有していた。
「ねえ」
美桜が顔を上げる。その瞳には希望の光が宿っていた。
「これからどうしようか」
「一緒に生きていこう。お父さんの思い出も大切にしながら」
彼女は静かに頷き、そして言った。
「ありがとう……裕紀」
雨は上がり始めていた。雲の隙間から差し込む光が二人を包み込み、まるで祝福しているかのようだった。



