君と始める最後の恋

 その日の夜、志織ちゃんとの飲み会が開催された。

 いつもの行きつけの居酒屋でお酒をそれぞれ注文して、乾杯も済ませて料理を食べながら色々と話をする。


「にしても、新婚なのに課長も一ノ瀬さんに仕事振りすぎなんです。家庭持ったからには稼がないとねとか言って。何言ってんだお前ですよ。」

「そんなこと言ってたんだ。」


 裏とは言え、課長に向かって”何言ってんだお前”というパワーワードは志織ちゃんしか出てこないだろうな。

 志織ちゃんのこういう所口は悪いけど、結構好きだったりする。


「家庭持ってるからって仕事振り過ぎたら、家庭壊すだろうがって思うんです。実際奥さん側はこんなに寂しい思いをしている訳じゃないですか。それで、仕事と私どっちが大事なの~!ってなってメンヘラ女爆誕です。」

「確かに寂しいけど、でも…。」


 類くんが数日前に行ってくれた言葉を思い出すと少しずつにやけていってしまう。

 寂しい思いした結果聞けた言葉だと思うと複雑だけど、それでも嬉しかった。


”君以上に優先しなきゃいけないものなんて今の俺には無いって分かってて。”


 この言葉で私大事にされているなと感じてしまう。

 目の前で突然にやけだす私を志織ちゃんが不思議そうな顔で見ていた。

 ただの変人…、いや妖怪にやけ変人かもしれない。