君と始める最後の恋

 その日の夜、ご飯の用意を済ませてお風呂掃除も済ませて、類くんが帰ってくるまで軽く仮眠を取るつもりだった。

 ソファーで眠りについていると、身体が急にふわっと浮いた感覚に襲われた。パッと目を覚ませば、類くんと目が合う。


「…へ?」

「あ、起きた。おやすみ。」

「待ってください!寝かせないで!」


 そう言いながら、足をじたばたすると「暴れんな!落とすよ」と脅されてスンと大人しくする。

 類くんが帰ってきたことに気付かないなんて。


「ま、待ってください。ご飯の用意にお風呂の用意が…。」

「そんなの自分で出来るから。明らかにキャパオーバーでしょ。寝て。」

「でも…。」

「言う事聞いて。」


 そう言って私をベッドの中に寝かせて、ベッドに腰を掛ける。そのまま優しく私の頭を撫でて寝かしつけようとして来た。

 立ち上がりたいのに立ち上がれなくて、話したいことも沢山ある。一緒に寝たいし、少しでも類くんと同じ時間を共有したいのに先に寝かしつけられそうになっている。

 寂しいですって言葉はどうしても素直に出て来なくて、うまく甘えられなかった。類くんの服の袖を掴むと「どうした」と優しく問いかけてくれる。


「…何でもないです。私このままお言葉に甘えて寝ちゃうので、類くんもやる事済ませないと遅くなっちゃいますよ!」


 そう笑顔で言うと、類くんは何か言いたそうな顔をしていたけど、口を噤んで何も言わなかった。

 そしてベッドから立ち上がって「先寝てなね、おやすみ。」とだけ言って寝室を出て行ってしまう。同じ家にいるのになんだか凄く寂しかった。