君と始める最後の恋

 意識がはっきりしてきた頃には、見知らぬ天井、見知らぬベッドの中で目を覚ました。


「(どこ、ここ…。)」


 周りを見ると生活感を感じるため、ここが誰かの家である事は間違いが無さそうだ。ベッドから出てそっとドアを開けると、キッチンに立って水を飲んでいる先輩とカウンターキッチン越しに目が合った。


「(あ、一ノ瀬先輩が家に運んでくれたんだ…。)」


 そこで初めて自分がやらかした状況を察する。後輩を助けようと出来ても先輩に迷惑掛けていたら意味がない。


「具合は。」

「それはもう、はい。すみません、本当に。」

「そう。」


 短く会話をして軽くグラスを洗えば手を拭いて、そのままこっちに来る。

 向かい合う様な形になれば、先輩は真っ直ぐな瞳で私を捉える。


「(この近さやばくない?きっと私アルコール臭いよね。)」


 好きな人にアルコール臭いなんて思われたくない。と思い、バッと口元を押さえると先輩はこちらを見たまま眉間に皺を寄せていた。


「あの、離れてもらっていいですか。」

「…あいつに身体触らせといて俺が近くにいるのは嫌なの?」

「え?」


 思わぬ言葉に何の話か全くわからない。

 そもそもあいつって、誰の話をしているのだろう。