竜也はその夜、家に帰るとすぐに部屋に閉じ込もった。
思考はぐるぐると回り、ゆいのことが頭から離れなかった。

「どうして、あいつは……」
竜也は拳を握りしめる。
彼が見せた決意の言葉も、ゆいには届かなかったのか。

でも、竜也の心の中で、ゆいがあの時の言葉を本当に心から拒んでいるわけではないと、少しずつ確信し始めていた。
彼女は、恐れているのだ。
誰かを選べば、どちらかを失う。それが怖い。

竜也は無意識のうちに、自分の胸に手を当てた。
その胸の奥にある、ゆいに対する強い気持ちを感じ取る。
今、ゆいが選ばないことが、どれほど痛みを伴うかも理解している。

「でも、俺は負けない。俺はお前を守る」

竜也はそれを胸に誓い、決して目を背けずに前に進もうと心に決めた。