道隆は、すべてを見守っていた。
彼は冷静に、しかし深い謎めいた笑みを浮かべながら、次の動きを見極めようとしていた。
全てが、彼の思惑通りに進んでいると確信していた。

「ゆいがどんな選択をしても、結果は決まっている」

道隆は背後の窓から外を見つめながら呟いた。
彼の周囲には、ゆいがどんな決断を下しても、その後ろには自分がいるという確信があった。

そして、竜也と飛鳥がどれだけ争おうとも、道隆が最終的な「勝者」となることは変わりない。

「……今夜が、全ての分岐点だ」

その言葉が、道隆の心の中で響き渡った。
そして、彼は再び手元にある電話のダイヤルを回した。
その相手は、西園寺組の組長、西園寺彰男だった。