ゆいは夜遅くまで眠れなかった。
心の中で繰り返し思い浮かぶのは、竜也と飛鳥の顔。
どちらかを選ぶことが、こんなにも自分を苦しめるとは思わなかった。
ゆいは、二人に対する気持ちが愛情なのか友情なのか、わからなくなっていた。

道隆の言葉、竜也の覚悟、飛鳥の不安。
そのすべてが、ゆいを縛り付けている。

「私は……どうしたらいいんだろう」

窓の外には、静かな月明かりが照らしていた。
ゆいはその光を見つめながら、心の中で決断の瞬間を迎えようとしていた。

「私は、誰も傷つけたくない」
その思いが、彼女の胸の奥で渦を巻いていた。

だが、現実はそう簡単ではない。
どんな選択をしても、必ず誰かが傷つく。

それでも、ゆいは選ばなければならない。
選ばなければ、二人の間で揺れ続ける自分を、いつまでも抱え込むことになってしまうから。