飛鳥は、ゆいの微妙な反応に気づいていた。
その目が、竜也を見つめるときの違和感を感じ取ったからだ。

「竜也、やっぱりお前は俺に言わなきゃいけないことがあるんじゃないか？」

飛鳥は強く言い放った。
竜也の背中を見つめながら、ゆいに気づかれないように声を出す。

「お前が、俺に何かを隠していることはわかる」

竜也はその言葉に反応しなかった。
だが、目を伏せることで、逆に彼の心の中が見透かされているような気がした。

「俺は――」

その時、突然、竜也の肩に力が入った。
「……やめろ。俺が言うべきことだ」

竜也が少し声を震わせながら言った。
その言葉が飛鳥を少しだけ驚かせる。
だが、飛鳥も覚悟を決めると、竜也を見つめ返す。

「俺も、お前と同じだ」

飛鳥の目が鋭くなった。
その目の奥にあるものが、竜也には理解できた。

「ゆいを、誰にも渡さない」

その言葉に、竜也は胸の奥で何かが弾ける音を聞いた。
それと同時に、何かが決まったような気がした。
この戦いに、終わりはない。