道隆は、いつものように自宅の仕事部屋で資料を眺めていた。
だが、心の中で何かがうずく。

「ゆい……お前、どこに向かっているんだ?」

彼女の無邪気さが、時に危険に見えることがあった。
道隆は冷静にその気配を感じ取っていた。

“あの二人”が、ゆいにどんな感情を抱いているのか。
それが、道隆にとっては最大の懸念だった。

「ゆいを守るために……もっと手を打たねばならない」
道隆は、電話をかけるために立ち上がる。

それは、ゆいのためだけでなく、彼女の周囲のためでもあった。
もし、このまま何もせずにいれば、すべてが崩れてしまうのだ。