ゆいは、何となく心がざわざわしているのを感じていた。
毎日、何も変わらないと思っていた学校生活が、急に違和感を伴い始めていた。

竜也と飛鳥、二人はなんとなく、違う気持ちを持っているように感じる。
それを認めたくない自分がいた。
どこか、二人を無理に引き離したくないと思っていた。

だが――

「ゆい」

そのとき、飛鳥の声が聞こえた。
振り返ると、そこには飛鳥が立っていた。
竜也の姿は見当たらない。

「どうしたの?」
「ちょっと、話したくて」

その声に、ゆいは少しだけ警戒した。
だが、飛鳥の表情はいつも通りで、特に何も感じさせない。

「……何かあったの?」

飛鳥は少しだけ黙った後、ゆいに向けて真剣な眼差しを向ける。

「ゆい、俺は――」

その言葉の途中で、竜也の声が割り込む。
「おい、何してるんだ?」

竜也が現れた瞬間、飛鳥は何も言わずに肩をすくめた。
そして、竜也とゆいが再び並んで歩き出す。

飛鳥はその背中を見送ることしかできなかった。