登場人物

桜田 ゆい(さくらだ ゆい)
・17歳・高校2年生
・ 幼少期に両親を事故で亡くし、
・ 母方の叔父に引き取られる
・明るく優しいが、
人の「闇」に鈍感な ところがある
・家は竜也と飛鳥の
ちょうど真ん中にある

西園寺 竜也(さいおんじ たつや)
・17歳・高校2年生•
・関東最大の極道組織
「西園寺組」の一人息子
•無口で冷静、
表の顔は成績優秀な優等生
•ゆいへの執着は幼少期から根深く、
暴力的な一面も

有栖川 飛鳥(ありすがわ あすか)
•17歳・高校2年生
•父親はアメリカのマフィアのドン、
母親は元華族の日本人
・ゆいへの執着は、竜也と同じくらい

桜田 道隆
・ゆいの母方の叔父
・37歳
・22歳の時ゆいを引き取る
・仕事は、情報屋
・両隣家の均衡を守るため、動いている

西園寺 彰男
・40歳
・竜也の父
・西園寺組 組長

西園寺美智子
・40歳
・竜也の母
・ゆいのことを気に入っている
・有栖川葵が嫌い
・2つ隣の有栖川家とは、
均衡を保っているが、
いつ崩れてもおかしくない状態

ミヒャエル・ハネケ
・38歳
・飛鳥の父
・アメリカマフィアのドン


有栖川葵
・40歳
・ゆいのことを気に入っている
・西園寺美智子が嫌い
・2つ隣の西園寺家とは、
均衡を保っているが、
いつ崩れてもおかしくない状態


道隆の家は、ごく普通の住宅街の中にあった。
だが、普通だったのは“見た目”だけだった。

道隆が暮らす家の左隣には西園寺組の家があり、
右隣にはアメリカマフィアと繋がる有栖川家が住んでいた。

子ども心に不思議だったのは、いつも黒い車が停まっていて、スーツ姿の男たちが周囲を警戒していること。
けれど、もっと不思議だったのは、そこに住む二人の男の子だった。

ひとりは、西園寺竜也(さいおんじ・たつや)。
無口で感情を表に出さない、どこか冷たい雰囲気を纏った男の子。

もうひとりは、有栖川飛鳥(ありすがわ・あすか)。
ハーフの血を引き、淡い金色が混ざる髪と、外国の子のような目を持っていた。よく泣き、よく怒る子だった。

二人とも、近所の子どもたちからは避けられていた。

理由は簡単だ。
“怖い家”の子だから。
“変な大人”がいる家の子だから。

けれど、ゆいは違った。

ある日、縁側に一人座っていた竜也に声をかけた。

「ねぇ、今日、おにごっこしない?」
「……俺、やらない」
「じゃあ、かくれんぼ!」
「……」

無反応の竜也に対しても、ゆいはにこにこと笑いながら喋り続けた。

次の日には飛鳥にも声をかけた。
彼は少し照れくさそうに笑って、「……遊ぶ!」と答えた。

それが、始まりだった。

3人は、いつしか毎日のように一緒にいるようになった。
ただ遊んで、ただ笑って、ただ隣にいるだけ。
それだけで、二人の心の奥に、確かな“光”が差していった。