ごく普通の少年である玲司は、ごく普通の市立小学校に上がった。
 学校でも友達はできたが、玲司にとって一番大切な友達は、日美子だった。
 日美子のほうから玲司を訪ねてくることがない為、いつも玲司が日美子の屋敷に遊びに行ってばかり。
「今度、僕の家にも遊びに来てよ!」
「気が向いたらね」
 日美子はいつもつれないが、玲司が遊びに来ると、必ず受け入れた。
 それこそ、ごく平凡な玲司とは、勉強している内容も、知識量もまるで違うが、日美子は玲司を見下したりもしない。
 そもそも、あまり興味がないだけのようにも思えるが、普段の暮らしでも嫌なことは嫌だと断固拒否するので、少なくとも、玲司を嫌いということはなさそうだった。
 玲司と同じ学校の子供が、
「あのお屋敷、頭のおかしい奴が住んでるんだって」
 そんなことを言おうものなら、普段はクラスで一番温厚な玲司なのに、人が変わったかのように激怒した。