「これでも一応、味見はしてきたんだけど⋯⋯」
「うん!美味しい!」
「ホントに?無理してない?」
「本当だって!僕の為に頑張って作ってくれたんだね。ありがとう」

 幸せな二人は、むせるほどの甘い空気を店内に撒き散らす。
 もし、客が見たら、帰ってしまうだろう。

「日美子さえ嫌じゃなかったら、また時々作ってほしいな」
「玲司が喜んでくれるなら、毎日だって作るよ」
「ありがとう。日美子⋯⋯愛してる」
「私も⋯⋯」
「あーもう!幸せすぎて、今ここで死んでも悔いはないや」
「ダメ。一秒でも私より長生きしてくれなきゃ許さない」
「またそんな可愛いこと言って⋯⋯。ほら、あーん」

 どこから見ても、バカップル以外のなにものでもない新婚夫婦。

 初めて弁当を作った日美子は、冷蔵庫から卵を取り出す際、パックごと落として割り、無事だった残りの卵を全て、電子レンジで爆発させた為、レンジは壊れた。