秘密の恋/未必の故意

 泣きじゃくる日美子のことを抱きしめて宥める玲司の口からは、
「今後また、親戚の冠婚葬祭があった時、堂々と一緒に行けるように、結婚しようか」
 そんな言葉が飛び出していた。
 珍しく、日美子はひどく驚いた顔をしている。
「あ⋯⋯別に、結婚したからって、僕のことを愛せなくても構わないよ。ただ、どうしても日美子のことを一人にしたくない。それだけだから」
「それだけ⋯⋯?」
「ん?」
「私だけなの?玲司のこと、こんなに大好きなのは」
「え!?今なんて言った!?」
「玲司のことが大好き⋯⋯どうしよう、私は一日でも玲司がいないと生きていけないような、ダメ女だってこと、どうしてずっと気づかなかったんだろう」
「バカだな⋯⋯僕は、初めて会った時からずっと好きで、どうかなりそうだったのに」
「ほんと⋯⋯?」
「そうだよ!でも、日美子に疎まれないように、ずっと隠してきたんだ。もう隠さなくていいんだね?」