玲司の両親は、少しぎこちない様子でテーブルの向こうに並んで座る。
「どうしたの?二人とも、そんな畏まって」
「え?ああ⋯⋯お前に話があってな」
(まさか、これは熟年離婚するとか⋯⋯?)
「話って?」
「あのな。父さんも母さんも、もう充分に働いたつもりなんだよ。貯金も貯まったし、年金も貰えるようになった」
玲司は、遅くに授かった子供なので、両親とも60歳と65歳を超えている。
「うん⋯⋯で?」
「何も、今すぐじゃないんだ。お前にきちんと店の引き継ぎを済ませたら、夫婦でマレーシアに移住したいと思っていて」
「はい⋯⋯?」
玲司はポカンとしてしまった。
「日本には四季がある⋯⋯どころか、この街は1年の半分近くが冬みたいなもんだから、このトシになると寒さがこたえるんだよ。マレーシアは温暖だし、年金でもそこそこ優雅な暮らしが出来るというからね」
「そんな夢のような話ってある?」
「どうしたの?二人とも、そんな畏まって」
「え?ああ⋯⋯お前に話があってな」
(まさか、これは熟年離婚するとか⋯⋯?)
「話って?」
「あのな。父さんも母さんも、もう充分に働いたつもりなんだよ。貯金も貯まったし、年金も貰えるようになった」
玲司は、遅くに授かった子供なので、両親とも60歳と65歳を超えている。
「うん⋯⋯で?」
「何も、今すぐじゃないんだ。お前にきちんと店の引き継ぎを済ませたら、夫婦でマレーシアに移住したいと思っていて」
「はい⋯⋯?」
玲司はポカンとしてしまった。
「日本には四季がある⋯⋯どころか、この街は1年の半分近くが冬みたいなもんだから、このトシになると寒さがこたえるんだよ。マレーシアは温暖だし、年金でもそこそこ優雅な暮らしが出来るというからね」
「そんな夢のような話ってある?」



