いつものように、玲司が日美子の屋敷で甲斐甲斐しく面倒をみていたところ、
「ねえ、玲司」
日美子が、思い立ったように言う。
「どうしたの?」
「私の髪を切って欲しいの。伸びてきたから」
子供の頃の日美子は、ロングヘアにパーマを当てていたが、ある時期からずっと、バングなしのボブだ。
日美子は神経質なので、少しでも伸びたり崩れたりするとストレスを感じる。
「じゃあ、父さんか母さんに頼もうか」
「玲司に切って欲しいの」
「え?でも、まだ僕はタマゴなのに」
「だからこそ、私を練習台にしたらいいじゃない」
「いいの⋯⋯?」
「いいも何も、お願いしてるのよ」
「⋯⋯わかった」
玲司は、自宅から散髪セットを持ってくると、屋敷の庭に置いた椅子に日美子を座らせた。
「本当にいいんだね?」
「くどい」
「スミマセン⋯⋯」
初めて日美子の絹のような髪に触れた玲司は、不整脈を起こしかけた。
「ねえ、玲司」
日美子が、思い立ったように言う。
「どうしたの?」
「私の髪を切って欲しいの。伸びてきたから」
子供の頃の日美子は、ロングヘアにパーマを当てていたが、ある時期からずっと、バングなしのボブだ。
日美子は神経質なので、少しでも伸びたり崩れたりするとストレスを感じる。
「じゃあ、父さんか母さんに頼もうか」
「玲司に切って欲しいの」
「え?でも、まだ僕はタマゴなのに」
「だからこそ、私を練習台にしたらいいじゃない」
「いいの⋯⋯?」
「いいも何も、お願いしてるのよ」
「⋯⋯わかった」
玲司は、自宅から散髪セットを持ってくると、屋敷の庭に置いた椅子に日美子を座らせた。
「本当にいいんだね?」
「くどい」
「スミマセン⋯⋯」
初めて日美子の絹のような髪に触れた玲司は、不整脈を起こしかけた。



