玲司は、まだそれが恋だと気付いていなかったが、あまりにもドキドキして、さっきまでのように手を繋ぐことができなくなってしまった。
 一方、日美子は、ひよこに夢中。
 夏祭りからの帰り道、
「ねえ、玲司」
「ん?」
「この子⋯⋯大事にするね」
 そう言われ、もはや玲司は歓喜と胸キュンで発狂するかと思った。

 翌日、
「昨日から、心臓がおかしいんだ⋯⋯」
 玲司は、そう言って学校を休みたがり、母親に病院に連れて行かれた。
 当然だが、検査しても全く異常はなく、
「こりゃ、恋の病ですな」
 医師に言われ、玲司の母親は恥をかいた。

 帰宅した玲司は、辞書で【恋愛】を調べてみた。

【恋愛】特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、できるなら合体したいという気持を持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態。