彼の背中が見えなくなるまで、 私はその場に立ち尽くしていた。 風がまた吹いて、 花びらがいくつも舞い上がり、 夕暮れの空に溶けていった。 ……理緒のことを思い出すたびに、 きっとこれから何度も彼のことを思い出すのだろう。 それはきっと、 もう悲しい記憶じゃない。 大好きだった親友と、 初めて誰かを好きになった日々。 そのどちらもが、 私の中で静かに同じ色をしていた。