「不安もあるだろうけど……大丈夫だよ。 中野さんなら、絶対に素敵な医者になる」 日向さんはそう言ってくれた。 私は笑って、静かに頷いた。 「……だといいです」 白衣の袖をまくる日向さんの姿を見て、 胸の奥が少しだけ痛くなった。 でも同時に、 私もようやく“歩き出す側”になれた気がした。 中庭の木蓮が咲いている。 去年よりもずっと、眩しく見えた。