それからも、私は学校が終わると、理緒の病室にほとんど毎日足を運んだ。

いつか突然終わりが来る恐怖は、いつもどこかにあった。
でも、それを口にしてしまったら、
今のこの時間まで壊れてしまいそうで、
私はただ笑って「また明日ね」と言い続けた。

……彼女は会うたびに少しずつ体力をなくしていて、
調子が悪い日は、10分も会話を続けるとひどく息を切らした。
そのたびに、どうしていいかわからなくなった。

手を握ることも、励ますことも、
もう彼女の負担になるんじゃないかと思うと、
ただ隣で、時計の針の音を数えるしかなかった。

窓の外では、季節が変わっていく。
病室のカーテンの隙間から差す光の色で、
日に日にそのことを思い知らされた。

……何もできないのに、それでも毎日通った。
怖かったからじゃない。
きっと、忘れたくなかったんだと思う。

いつか彼女がいなくなった時に、
自分が何を失ったのか、ちゃんと知っていたかった。