御崎先生は、いつも凛としていた。
白衣の裾を揺らしながら廊下を歩く姿は、不思議と遠くからでもすぐに分かる。

私がどれだけ視線を合わせられずにいても、先生はすれ違うと必ず一言、淡々と「こんにちは」と声をかけてくれる。
その声音には、冷たさと同時に、規律の中にある優しさのようなものが含まれていた。

けれど私は――その視線を受け止める勇気がなくて。
目が合った瞬間、いつも慌てて逸らしてしまうのだった。