2人分の恋

土曜日。

空は少し曇っていたけど、気温はちょうどよくて、歩くにはぴったりの日だった。

待ち合わせは、駅前のカフェの前。

花音とひよりは、約束通り20分前に到着していた。

「ひより、ほんとありがとう。メイクも服も、全部かわいくしてくれて…」

「えへへ、花音がかわいいからだよ〜。律、絶対びっくりするって!」

ふたりで笑い合っていると、遠くから律が歩いてくるのが見えた。

私服姿の律は、いつもより少しラフで、でも清潔感があって、なんだか大人っぽかった。

「花音……めっちゃかわいい」

開口一番、そう言ってくれた律に、花音は思わず顔を赤くした。

「ありがと……ひよりが全部やってくれたの」

「ひよりちゃん、すごいな。俺も感謝しなきゃ」

そのあとすぐに、蒼太くんも到着。

「ひよりちゃん……今日、すごくかわいい」

「え!?蒼太くんこそ、私服めっちゃ似合ってる!てか、照れてるの可愛いんだけど!」

蒼太くんは、耳まで真っ赤になって、目をそらした。

「だって……ひよりちゃんがかわいすぎて、目合わせるの緊張するし……」

律が横で笑いながらつぶやく。

「おいおい、朝からいちゃつきすぎだろ」

花音は、肩をすくめて笑った。

「律もさっき言ってたじゃん。お互い様だよ」

4人は、カフェで軽くお茶をしてから、映画館へ向かった。

映画は、ひよりの提案でホラー系。

蒼太くんは「怖いけど、ひよりちゃんが隣なら大丈夫」と言っていたけど、予告の時点ですでに顔がこわばっていた。

ひよりは、そんな蒼太くんの手をそっと握って、笑った。

「大丈夫だよ。私がいるから」

その言葉に、蒼太くんは少しだけ安心したように頷いた。

映画のあとは、ショッピングモールへ。

律は、花音と並んで歩きながら、服屋のウィンドウを見て言った。

「花音とこうやって買い物するの、夢だったんだよな」

「え、そうなの?」

「うん。なんか、彼氏っぽいことしてるって感じで、嬉しい」

花音は、照れながらも「じゃあ、私に似合いそうなの選んでみてよ」と言ってみた。

律は、真剣な顔で店内を見渡して、「これとかどう?」と差し出した服は、意外にも花音の好みにぴったりだった。

「……律、センスあるかも」

「でしょ?」

夕方になって、4人は駅前のベンチに座って、今日の思い出を話していた。

「ホラー映画、蒼太くんの反応が一番怖かったかも笑」

「いやいや、俺、頑張ったよ!ひよりちゃんの手、ずっと握ってたし!」

「律の服選び、意外とセンスよかったよね」

「花音が着てくれたから、そう見えただけだよ」

笑い声が重なって、空が少しずつオレンジ色に染まっていく。

(こんな日が、ずっと続けばいいのに)

花音は、そう思いながら、律の隣でそっと手を握った。