2人分の恋

昼休みのあと、ひよりは少し元気がなかった。

蒼太くんはそれに気づいて、放課後、そっと声をかける。

「ひよりちゃん、今日ちょっと元気ない?」

え、ばれてる?顔に出てたかもしれない。

ひよりは、迷った末にぽつりとこぼす。

「……蒼太くんって、誰にでも優しいから……私だけに向けてる感じがしない時があって」

蒼太くんは、少し驚いた顔をして、それから真剣な目でひよりを見る。

「俺、誰にでも優しいって言われるけど……ひよりちゃんにだけ、照れるんだよね」

「え……」

「他の子には言えないこと、ひよりちゃんには言える。

それって、俺の中では特別というか……伝わってなかった?ごめんね。」

一瞬驚いたけど、ひよりは、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた。

「……伝わった。今、ちゃんと」

蒼太くんは、照れくさそうに笑って、ひよりの手をそっと握る。

「俺、ひよりちゃんの彼氏だから。ちゃんと“彼女”って思ってるよ」

その言葉に、ひよりは初めて“彼女になれた”気がした。