2人分の恋

放課後、昇降口で律が待っていた。

いつものように、少し早めに来て、私の顔を見ると、笑う。

「花音、今日もかわいいな」

その言葉に、胸が温かくなる。

でも—— 私は「ありがとう」としか返せなかった。

律は、いつも全力で“好き”をつたえてくれるのに……私の反応って、冷たく見えてないかな

律は、私に何度も好きとか、言ってくれるから

嬉しい。 ほんとに、嬉しい。

でも、なんだろう。

なんかが追いついてない気がする。

私、ちゃんと“彼女”になれてるのかな……

律の気持ちが強すぎて、私の“好き”が、ちっぽけに見えてしまう。

「花音の笑顔、やっぱりかわいい」

「照れてる花音も、かわいい」

律の言葉は、いつも少し大げさで、でも全部本気で—— だからこそ、私の返事が、足りてない気がしてしまう。

もっと、ちゃんと伝えたいな。

私も、律が好きって

でも、どうやって?

言葉にするのは、ちょっと照れくさい。

そんなことを考えながら、私は律の手をそっと握り返した。

「……律、ありがと。私も、律のこと……すごく大事に思ってるよ」

律は、少し驚いたように目を見開いて、それから優しく笑った。

「うん。知ってる。でも、言ってくれて嬉しい」

その笑顔で、私の心も少し軽くなった。