昼休み。

花音と並んで話していたとき、ふと目を上げた。

蒼太くんが、教室の向こうで、別の女子に話しかけていた。

「今日の髪型、似合ってるね」

その言葉。

私にも言ってくれたことがある。

でも今は、違う子に向けて、、

胸が、きゅっと痛む。

付き合ってるって言っても……なんか、形だけな気がするし、、

蒼太くんは、誰にでも優しい。

それが彼のいいところだって、わかってる。

好きになった理由でもある。

でも—— 私だけの“特別”だと思ってた。

それが、今、崩れた気がした。

ちょっと悔しい。

いや、もしかして、私が嫉妬しすぎなだけかも。

もう、そう思うのはやめようか)

そう思ってみても、心はうまく言うことを聞いてくれない。

花音が「どうしたの?」と声をかけてくれたけど、私はただ「ううん、なんでもない」と笑ってみせた。

でも、笑顔の裏で、心はぐるぐるしていた。

私、彼女っぽいこと、何もできてないかも

LINEも、蒼太くんから来たら返すだけ。

私から何かしたことって、あったかな。

もしかして、蒼太くんにとって、私は“彼女”じゃなくて、“ただの優しい子”なのかも