そのあと、平凡な一か月が過ぎ、ある日の昼休み。
教室の隅で、ひよりはプリントをまとめていた。
指先が少し震えているのは、昨日の出来事がまだ頭の中でぐるぐるしているから。
蒼太くんと話せた。
そこへ、蒼太くんが現れた。
ひよりの心臓が、一瞬止まりそうになる。
「……あ、ひよりちゃん。昨日はありがとう」
「えっ、あ、ううん!全然!」
ひよりの声が裏返る。
「柱にぶつかったの、ちょっと恥ずかしかったけど……ひよりちゃんが声かけてくれて、助かった」
蒼太くんが、少し笑う。
その笑顔が、ひよりの胸をぎゅっと締めつける。
「ひよりちゃん、話しやすいね。なんか、落ち着く」
「え……」
その一言で、ひよりの心臓が跳ねた。
落ち着くって、どういう意味? ただのお世辞というか、、?
「また、話してもいい?」
「……はいっ!」
なんかドキドキしすぎて、敬語が混ざってしまう。
でも、優しく笑ってくれた。
ひよりはもう、顔を隠したくてプリントで自分の顔を半分覆った。
蒼太くんはその様子を見て、くすっと笑う。
「照れてるひよりちゃんも、かわいいね」
「も、もう……やめてください……」
蒼太くんは、少しだけ身を乗り出す。
「じゃあ、またあとで。楽しみにしてる」
その言葉を残して、蒼太くんは去っていった。
蒼太くんが去ったあと、ひよりはプリントを抱えたまま、しばらくその場に立ち尽くしていた。
さっきの「話しやすいね」「かわいいね」って言葉が、頭の中で何度もリピートされてる。
でも——
(あの感じ……ほかの女子にも出してる感じなの?)
ふと、そんな考えがよぎった。
蒼太くんって、誰にでも優しい。
(え、そうだとしたら……勘違い?)
胸が、きゅっと痛くなる。
(でも……でも、名前、ちゃんと覚えててくれてたし……)
励ますように、そう思い直す。
次の日、廊下ですれ違ったとき、蒼太くんが声をかけてくれた。
「昨日、ありがとう。助かった」
「え、ううん!私こそ……」
顔が熱くなる。
でも、嬉しくて、心臓が跳ねる。
「ひよりちゃんって、やっぱりなんか話しやすいんだよね」
と、蒼太くんのつぶやきにドキッとする
を見ていたはずなのに、視線は私に向いていた気がする。
(……え、なにそれ。不意打ちすぎる)
ドキッとした。
心臓が跳ねて、音が耳に響くくらい。
そんなつもりじゃなかったのに、顔が熱くなっていくのがわかる。
(もう……照れちゃうじゃん。心臓持たないって……)
言葉にできない気持ちが、中でぐるぐるしてる。
そのまま黙ってしまった私に、蒼太くんが首を傾ける。
「ひよりちゃん?急に黙ってどうしたの」
私の顔を、そっと覗き込むように見てくる。
その距離が近くて、余計に顔が熱くなる。
(絶対、ほてってるのバレてる……)
「いや、その……あ……あっちに、ほしい本あるんだった。ちょっと借りてくるね……!」
もう耐えられなくて、逃げるように立ち上がった。
「もしかして照れてる?」
「……照れてない」
「ほんと?じゃあ、もうちょっと近づいてもいい?」
「えっ……」
冗談っぽく言うくせに、ちょっとだけ距離を詰めてくる。
放課後。
廊下でプリントを持って歩いていたら、蒼太くんが後ろから声をかけてきた。
「ひよりちゃん、プリント多いね。持つよ」
「え、だいじょうぶ……!」
「俺が持ちたいだけだから」
その言い方が、ずるい。
優しすぎて、自然すぎて、でも私だけに向けられてる気がして。
——蒼太くんは、きっと気づいてる。
私が照れることも。
そして、それを楽しんでる。
「蒼太くんに、彼女できたらしいよ」
そんなうわさが、昼休みに耳に入ってきた。
私は、プリントをまとめていたけど、驚きで、プリントをがさっと全部落としてしまった。
(え……彼女?)
(よく話すけど……その相手って、私?いやでも、付き合ってるほどいろいろしてないし……)
頭の中がぐるぐるして、気づけば廊下を歩いていた。
そして——
「ガンッ!」
柱にぶつかった。
痛みよりも、恥ずかしさが先に来る。
「いった……」
しゃがみ込もうとした瞬間、教室から蒼太くんが飛び出してきた。
「ひよりちゃん!?大丈夫?」
「えっと……大丈夫。考え事してたら、ぶつかっただけで……」
心配そうな顔だったのに、次の瞬間、蒼太くんが噴き出した。
「あははは、前の俺と一緒じゃん。笑」
「もう、笑わないでよね!もとはといえば、蒼太くんが……私に考え事させたんだから!」
——あ。 言ってしまった。
気まずい空気が流れる。
「……え?」
蒼太くんが、驚いた顔で私を見る。
「考え事?俺のこと?」
(いやあああああ聞かないでーーー)
でも、もう手遅れだった。
この際、聞いてしまおう。
うわさのこと。
「蒼太くんって……彼女いるんでしょ?」
「え……?」
「いや、でも、付き合ってるっていう噂聞いたんだけど……」
蒼太くんは、目を泳がせて、そして——赤面した。
「あ……ごめん。
あの、それ……友達に『お前まだ彼女いないのかよ』って言われて。
そしたら『最近話してるひよりちゃん?だっけ?付き合ったら?好きなんだろ?お前分かりやすいからなー』って言われて……」
「……うん」
「それで、なんか悔しくなって……『もう付き合ってるけど』って言っちゃったんだよね
……ほんとに、ごめん」
聞き終わった私は、蒼太くんよりも真っ赤になっていた。
(ええええええええええええええええええええええええええええ)
頭が真っ白。
ふたりで、しばらく赤面して黙っていた。
その沈黙を説いたのは、蒼太くんだった。
「……あの、もしよかったら。ほんとに、付き合ってくれませんか」
私は、声にならない声を出してしまった。
「お……えええええ、?あ……はい。よろしくお願いします」
変な声だったけど、ちゃんと返事はできた。
蒼太くんは、ほっとしたように笑ってくれた。
教室の隅で、ひよりはプリントをまとめていた。
指先が少し震えているのは、昨日の出来事がまだ頭の中でぐるぐるしているから。
蒼太くんと話せた。
そこへ、蒼太くんが現れた。
ひよりの心臓が、一瞬止まりそうになる。
「……あ、ひよりちゃん。昨日はありがとう」
「えっ、あ、ううん!全然!」
ひよりの声が裏返る。
「柱にぶつかったの、ちょっと恥ずかしかったけど……ひよりちゃんが声かけてくれて、助かった」
蒼太くんが、少し笑う。
その笑顔が、ひよりの胸をぎゅっと締めつける。
「ひよりちゃん、話しやすいね。なんか、落ち着く」
「え……」
その一言で、ひよりの心臓が跳ねた。
落ち着くって、どういう意味? ただのお世辞というか、、?
「また、話してもいい?」
「……はいっ!」
なんかドキドキしすぎて、敬語が混ざってしまう。
でも、優しく笑ってくれた。
ひよりはもう、顔を隠したくてプリントで自分の顔を半分覆った。
蒼太くんはその様子を見て、くすっと笑う。
「照れてるひよりちゃんも、かわいいね」
「も、もう……やめてください……」
蒼太くんは、少しだけ身を乗り出す。
「じゃあ、またあとで。楽しみにしてる」
その言葉を残して、蒼太くんは去っていった。
蒼太くんが去ったあと、ひよりはプリントを抱えたまま、しばらくその場に立ち尽くしていた。
さっきの「話しやすいね」「かわいいね」って言葉が、頭の中で何度もリピートされてる。
でも——
(あの感じ……ほかの女子にも出してる感じなの?)
ふと、そんな考えがよぎった。
蒼太くんって、誰にでも優しい。
(え、そうだとしたら……勘違い?)
胸が、きゅっと痛くなる。
(でも……でも、名前、ちゃんと覚えててくれてたし……)
励ますように、そう思い直す。
次の日、廊下ですれ違ったとき、蒼太くんが声をかけてくれた。
「昨日、ありがとう。助かった」
「え、ううん!私こそ……」
顔が熱くなる。
でも、嬉しくて、心臓が跳ねる。
「ひよりちゃんって、やっぱりなんか話しやすいんだよね」
と、蒼太くんのつぶやきにドキッとする
を見ていたはずなのに、視線は私に向いていた気がする。
(……え、なにそれ。不意打ちすぎる)
ドキッとした。
心臓が跳ねて、音が耳に響くくらい。
そんなつもりじゃなかったのに、顔が熱くなっていくのがわかる。
(もう……照れちゃうじゃん。心臓持たないって……)
言葉にできない気持ちが、中でぐるぐるしてる。
そのまま黙ってしまった私に、蒼太くんが首を傾ける。
「ひよりちゃん?急に黙ってどうしたの」
私の顔を、そっと覗き込むように見てくる。
その距離が近くて、余計に顔が熱くなる。
(絶対、ほてってるのバレてる……)
「いや、その……あ……あっちに、ほしい本あるんだった。ちょっと借りてくるね……!」
もう耐えられなくて、逃げるように立ち上がった。
「もしかして照れてる?」
「……照れてない」
「ほんと?じゃあ、もうちょっと近づいてもいい?」
「えっ……」
冗談っぽく言うくせに、ちょっとだけ距離を詰めてくる。
放課後。
廊下でプリントを持って歩いていたら、蒼太くんが後ろから声をかけてきた。
「ひよりちゃん、プリント多いね。持つよ」
「え、だいじょうぶ……!」
「俺が持ちたいだけだから」
その言い方が、ずるい。
優しすぎて、自然すぎて、でも私だけに向けられてる気がして。
——蒼太くんは、きっと気づいてる。
私が照れることも。
そして、それを楽しんでる。
「蒼太くんに、彼女できたらしいよ」
そんなうわさが、昼休みに耳に入ってきた。
私は、プリントをまとめていたけど、驚きで、プリントをがさっと全部落としてしまった。
(え……彼女?)
(よく話すけど……その相手って、私?いやでも、付き合ってるほどいろいろしてないし……)
頭の中がぐるぐるして、気づけば廊下を歩いていた。
そして——
「ガンッ!」
柱にぶつかった。
痛みよりも、恥ずかしさが先に来る。
「いった……」
しゃがみ込もうとした瞬間、教室から蒼太くんが飛び出してきた。
「ひよりちゃん!?大丈夫?」
「えっと……大丈夫。考え事してたら、ぶつかっただけで……」
心配そうな顔だったのに、次の瞬間、蒼太くんが噴き出した。
「あははは、前の俺と一緒じゃん。笑」
「もう、笑わないでよね!もとはといえば、蒼太くんが……私に考え事させたんだから!」
——あ。 言ってしまった。
気まずい空気が流れる。
「……え?」
蒼太くんが、驚いた顔で私を見る。
「考え事?俺のこと?」
(いやあああああ聞かないでーーー)
でも、もう手遅れだった。
この際、聞いてしまおう。
うわさのこと。
「蒼太くんって……彼女いるんでしょ?」
「え……?」
「いや、でも、付き合ってるっていう噂聞いたんだけど……」
蒼太くんは、目を泳がせて、そして——赤面した。
「あ……ごめん。
あの、それ……友達に『お前まだ彼女いないのかよ』って言われて。
そしたら『最近話してるひよりちゃん?だっけ?付き合ったら?好きなんだろ?お前分かりやすいからなー』って言われて……」
「……うん」
「それで、なんか悔しくなって……『もう付き合ってるけど』って言っちゃったんだよね
……ほんとに、ごめん」
聞き終わった私は、蒼太くんよりも真っ赤になっていた。
(ええええええええええええええええええええええええええええ)
頭が真っ白。
ふたりで、しばらく赤面して黙っていた。
その沈黙を説いたのは、蒼太くんだった。
「……あの、もしよかったら。ほんとに、付き合ってくれませんか」
私は、声にならない声を出してしまった。
「お……えええええ、?あ……はい。よろしくお願いします」
変な声だったけど、ちゃんと返事はできた。
蒼太くんは、ほっとしたように笑ってくれた。



