いつも通り「おはよう」と言いながら教室に入ると、ひよりがにやにやしながら私を見ていた。

「おはよー。なにその顔、にやにやしすぎじゃない?」

「わかってるくせに〜」

口をとがらせて、からかうように言ってくる。

「え、なになに?何かあったっけ?」

ひよりは口に手を当てて、内緒話みたいに囁いた。

「昨日、律くんとデートしてたでしょ?しかも、家に呼んだらしいじゃん?」

「……えっ!?なんでひよりがそんなこと知ってるのよ!」

思わず声が裏返る。

まさか見られてたなんて、知らなかった。

逃げ出したいくらい恥ずかしい。

「塾行く途中に見ちゃったんだもん。めっちゃ仲良さそうだったし〜」

私は手で顔を覆った。

頬が熱い。

ひよりはさらに追い打ちをかけてくる。

「ラブラブじゃん〜。花音、めっちゃ甘えてたし。 あんな花音、初めて見たかも〜」

ウインクまでしてくるひよりに、私は机に突っ伏した。

「……うるさい。もう黙ってて」

「はいはい、照れてる照れてる〜。」

ひよりが笑いながら、私の肩を軽く叩いてくる。

「もう、うるさいってば…」

私は机に突っ伏したまま、顔を隠す。

それに、耳まで熱くなってるとおもう。

「でさ、律くんってどんな感じだったの?家で。まさか、手とか…つないだ?」

「……つないだ」

「ええええええええええええええええええええええええ。」