昼休み、私は委員会の打ち合わせで、クラスの蒼太くんと話していた。

次回の活動内容の確認と、配布資料の調整。

ただの仕事の話。

でも、蒼太くんは話しやすくて、つい笑ってしまった。

その瞬間、視線を感じた。

教室の隅、窓際の席。

律が、じっとこっちを見ていた。

目が合った瞬間、律はすっと視線をそらした。

でも、頬が少し膨らんでいた。 ……あれ、もしかして。

午後の授業中も、律はいつもより静かだった。

ノートを取る手は止まらないけど、時々、私の方をちらっと見る。

そのたびに、目が合って、すぐに逸らされる。

放課後、昇降口で律が待っていた。

いつも通りのはずなのに、なんだか空気が違った。

「一緒に帰ろう」

その声も、少し硬かった。

並んで歩きながら、律はぽつりと口を開いた。

「今日、あいつと何話してたの?」

「え?蒼太くん?委員会のことだけど……」

「ふーん。なんか、楽しそうだったな。 てか、あいつ、花音のこと見すぎじゃね? もしかして、あいつ、、、」

最後のほうは聞こえなかったけど、ぶつぶつ喋ってる。

「律、見てたの?」

「見てた。てか、見てる。いつも。花音のことは、俺が一番見てる」

私は、足を止めた。

律も、立ち止まる。

「もしかして、、、嫉妬してる?」

「してない!……ちょっとだけ、、、」

律の顔は、真っ赤だった。

耳まで赤くなっている。

「律、好きすぎじゃない?」

かわいい。

「好きすぎて、夢にも出てくるくらい花音のことかんがえてる。」

私は、笑いながら「バカじゃん」と言言いながら、顔がほてるのを感じた。

照れてるのがばれたくなくて、私は、顔をそらす

律は、コンビニに寄って、ミントのガムを買ってきた。

無言で渡してきた。

「……これ、好きだったよな。 俺、花音の好きな味、香り、色、全部覚えてるから」

「……律、ほんとに私のこと好きなんだね」

「うん。好きすぎて、ちょっと怖いくらい」

私は、そっと律の手を握った。

律は、ぎゅっと握り返してきた。

——律って、ほんとに私のこと、好きなんだ。

それも、ただの“好き”じゃなくて、“誰にも渡したくない”くらいの、好き。

すっごくうれしい!

照れくさくて、こんなの言葉にできないけど。