瑠那は夜の道場で1人、ぽつんと、堂々と正座していた。

稽古が終わっても、まだ帰る気にはなれなかった。

部活を捨てた。けれど、それで本当に良かったのか——

心のどこかで、まだ迷っている自分がいる。

「......私は、自分が嫌いになりたくないだけ」

誰かに届くわけでもない声が、道場の天井に吸い込まれていく。

静けさの中で、瑠那は竹刀を握り、構えた。



次に彼女が学校の道場へ姿を表すのは、まだ少し先のことになる。