午後の陽射しが、体育館の窓から差し込んでいた。

朝とは違う、熱気を帯びた空気。

——二回戦目の相手は、去年の県大会優勝校。

見た目からして、風格が違った。

道着の着こなし、防具の着想、気迫、静けさ、

全員にやる気がみなぎっていた。



試合前、加藤が瑠那の方を見た。

「......ねえ、勝てるかな?」

瑠那は、しばらく黙った後で答えた。

「わかんない。でも、やるしかないよ」

加藤は苦笑して頷いた。

「そっか、そうだよね」



ついにやってきた、二回戦目。

先鋒の加藤が試合場に入る。

しかし——


加藤の試合は、30秒もなく決着が着いた。

気づけば試合が終わっていた。

「ごめん、私、あっさりだった」

「ううん、いいの。頑張ってたもん」

瑠那はそう言って、方に手をおいた。



次鋒の佐伯、中堅の大島も奮闘した。

だが、経験と技術が及ばず、いずれも二本負け。

副将の三宅は、一度一本取り返す場面もあったが、最後は胴を抜かれて敗れた。



もう、このチームの勝利はなくなった。

しんと静まったチームは、誰しも悔しさを飲み込むようにして、口を閉じていた。

——ただ1人、瑠那を残して。

まだ、大将戦は残っている。

瑠那は静かに立ち上がる。

まるで、中2の中総体......誰も勝てなかったあの日に戻ったようだった。

でも、今は違う。

(私はもう、独りじゃない)

みんなの悔しさ、悲しさを背負って、試合場に立つ。

(団体戦のクライマックスを飾る試合をする)

そんな気持ちを胸に、いざ始まる試合は、とてつもない緊張感があった——