気まぐれヒーロー2




ジローさんは、どう思ったんだろう。

タイガの“生き方”を、どう受け止めたんだろう。


そう思った時だった。



「……憎いか、俺が」



突然、静かで寂しげな声がした。


私はジローさんを、見つめていた。

ただそうしていただけなのに、銀色を纏う彼の憂いを帯びた目が、私を捉える。

まさか、ジローさんがこっちを見るなんて。

心臓が止まりそうだった。


あまりにも艶やかで、綺麗で……それでいて、冷たい。



「教えてくれ」



その眼差しは、“忘れろ”と言ったあの時の冷酷なものじゃない。

でもまだ、彼の中には闇が残っていた。
凍えるような孤独から抜け出せずにいる、その影が、見える気がした。

見つめ合っているのに、通わない温もりがもどかしくて胸がぎゅっとなる。

どうしたら、ジローさんに明るい世界を見せてあげられるんだろう。

どうしたら、光を与えてあげられるんだろう。



「俺は……お前の目に映る世界に生きていて、いいのか」



どうして、この人はそんな悲しいことを言うんだろう。


切なくて、苦しくて、視界が滲む。



「なに言ってるんですか」



その瞬間、私はジローさんに初めての感情を抱いた。

底の無い悲しみに胸の奥で何かが爆ぜ、“怒り”という激情へと、移りゆく。



「っ、当たり前じゃないですか!!生きてください!生き続けてください!!」



やっと触れられたと思ったのに。

やっと、ジローさんが自分を閉じ込めていた壁を壊してくれたと思ったのに。

その向こうで、あなたは今も苦しんだままだった。



「なに、言ってるんですか……!!」



込み上げるものが堰を切り、目の奥が熱くなっていく。
堪えきれなくなり、ぽろぽろと涙が零れ落ちた。

今日だけで私、何回泣いてるんだろう。
どうしてこんなに弱くなっちゃったんだろう。


みんな、真剣だからだ。
必死に生きてるからだ。

戦って、もがいて、それでも諦めずに未来を信じているから。


彼らの厳しさ、真っ直ぐな言葉、揺るがない眼差し。
その全てが、私の心を叩いた。

“人間”って、こんなにも強くて、眩しいんだって。

その大きな想いを受け止めきれない私は、涙を流すことしかできなかった。


いや、肝心なのを忘れてた。鼻水もだ。

ズルズル垂れてくるのを、タイガの制服の袖で拭った。

タイガに「コラ、またか!オメーの鼻汁でかぴかぴになんだろーが」と怒られたけど、クリーニング出すしいいじゃんって思った。

それと、鼻汁っていう言い方やめてほしい。