気まぐれヒーロー2




ああ……ね。

ジローさんだもんね。
ジローさんらしいよね。


でもさ、
何もこの場で、そんな堂々とジロー節を炸裂させなくたっていいんじゃ……!!



「てめえは一回死んどけ!!」



ジローさんはタイガに、思いきり特大のげんこつをくらっていた。


すんごい音が倉庫の中に反響する。


ハイジの「不憫だよな、お前」って一言も、右から左へと抜けていった。


ジローさんはどんな時だって、ジローさんなのだ。

おにーさん達がズッコけるタイミングも素晴らしく揃っていて、新喜劇のようだった。

さすが“黒鷹”。団結力は申し分ない。



「……なあ」

「あんだよ!!まだ足りねえのか!?マジで真性のマゾなのかオメーは!!」



めちゃくちゃ痛そうな一発をくらっても、それをものともせずまた声をかけてきたジローさんに、タイガは牙を剥いて息巻いていた。



「お前の、“生きる”って何?“生きる”ってのは、どんなのだ」



ごく普通に、ジローさんはタイガに尋ねた。

まるで『ミミガーってどんな食べ物?』くらいのノリで。

けれどそれは、彼にとって本当に純粋な疑問なんじゃないかと思う。


うまく生きられず、不器用で、重たい足を引きずりながらここまで歩んできた人だから。

一番知りたいことなんじゃないだろうか。


『生きる』と迷いなく言い切ったタイガだからこそ──その口から聞きたかったんだろう。



「オメーは、ややこしく考え過ぎなんだよ」



そんな、“生き方”なんて難しいテーマを投げられても。

タイガは、タイガだった。


『なんだそんなことか』と今にもその瞳が語り出しそうで、少しも悩む素振りなんて見せなかった。



「メシ食って、クソして寝ろ。それだけでいい。……まあ、一つ贅沢言うなら──」



タイガの“生き方”は、



「たまに女が抱けりゃ、最高じゃねーか」



実に簡単で、実にタイガらしかった。


拍子抜けするくらい単純なのに、体の奥の奥まで染み渡って、私の心を震わす。


なんか……

何だろう。そっかって、思えた。


生きるって、そういうことなんだ。
それでいいんだ。


私だったら、こんなふうには答えられない。

“生きる”ということを、迷うことなく自分の言葉で、相手に説くなんてできない。


でも、タイガにはそれができる。
きっと、そう言えるだけの時間と経験を、彼が重ねてきたからなんだろう。


何度も荒波に呑まれ、それでも乗り越えてきたからなんだ。