気まぐれヒーロー2




「過去は過去だ。忘れる気もねえし、目を背ける気もねえ。かといって縛られるつもりもねーよ。全部ひっくるめて、俺だからな」



生きていくうえで、過去は切っても切り離せないもの。

どんなに辛くても、どんなに悲しくても。


ジローさんだけじゃない。

タイガもまた、“傷”を背負っている。


ジローさんが言っていた、“色”。

タイガの色は、金色。


もしかしたら、その色とタイガの“過去”には、何か繋がりがあるのかもしれない。



「生きるよ、俺は」



ゆっくりと振り向き、タイガがジローさんに向けた言葉は、

どこか儚いのに──確かな強さがあった。




「お前は、いつマジになる?」




“生きる”


当たり前のはずのことが、白鷹次郎には当たり前じゃなかった。


その重みを知っているタイガだからこそ、彼の言葉はきっと、ジローさんの魂に響いた。




「お前はいつ、本気を見せるんだよ」




口を閉ざしたまま、真っ直ぐにタイガを見つめ返すジローさん。

タイガの口調には、どこか試すような含みがあった。

それでもジローさんは何も答えない。


やがてタイガの瞳から熱が引いていき、彼は視線を逸らしながら、吐き捨てるように言った。



「この先、そんなつもりもなく、まだ死にたいだの何だのとほざくんなら……勝手に死ね。野良犬のエサにでもなっちまえ。ボケナスでもそんくらいは、役に立つだろうよ」



何でかな。

理由はわからない。


胸の奥がじんわり温かくなって、すごく安心してる自分がいた。

泣きそうになって、鼻の奥がつんとする。


“大丈夫”だって、思えたんだ。

ジローさんは、大丈夫だって。


この人がいてくれるから。

こんなにも優しくて、深い愛をくれる人が傍にいるのなら──

きっと、大丈夫。


ジローさんには、タイガがついていてくれる。



「なあ」

「あ?」



そして、ジローさんがやっと……自分の意思を示そうとした。

真剣な眼差しで向き合おうとする彼に、タイガも少し身構えている。

どんな言葉が返ってくるのか。


緊張してるのは、私も、隣のハイジも、周りのおにーさん達も同じだった。


ドキドキする。
誰もが息を潜め、彼の口元に注目していた。


そして──その時は訪れる。




「ももって、誰だ」