気まぐれヒーロー2




だから探した。

何日も、何日も、街中を歩き回った。

お兄ちゃんの生きた街を。
お兄ちゃんと私の思い出が、詰まった街を。


よく行った公園も、夕暮れの街を見渡せる丘も──お兄ちゃんと過ごした場所、すべてを探した。

そのうち、ひょっこりお兄ちゃんが顔を出す気がして。



“バーカ、俺が死ぬわけねえだろ?ちょっとももを驚かしてやろうと思っただけだよ”



そんなふうに笑って、何でもなかったみたいに現れる。
そんな気がしてた。


……でも、違った。

どこを探しても、どれだけ走り回っても、お兄ちゃんの姿はなかった。

もうお兄ちゃんは、この世界にいない。
私が生きる世界から、旅立ってしまったんだって……気づいた。

街は動いて、人々はそれぞれの生活を続けていく。
時計の針も止まらず、一秒一秒を刻み続ける。


私だけが……止まっていたんだ。

私だけが、“お兄ちゃんが生きていた頃の街”にしがみついて、進めなかった。


二度と戻らない。

二度と帰ってこない。


『さよなら』も、『ありがとう』も。

そして『大好き』も……伝えられなかった。



お兄ちゃんの死を現実として受け入れた時、残ったのはどうしようもない喪失感と、空虚感だけだった。


太陽を失ったら、どうすればいいの?

私の日だまりは、もう消えてしまったの?


何をする気も起きず、立ち上がることもできず、終わりのない悲しみと絶望に打ちひしがれていたあの日々が……今になって私の胸をかき乱した。


ジローさんも、私と同じだったんだ。


生きる支えだった響兄ちゃんが、死んだ


そして──その原因が、自分なのだと。


苦しんで、責めて、悩んで。

手を伸ばした先にあったのが、“死”という選択肢。


私はまた、失うんだろうか。


大切な人をなくして、自分が壊れてしまいそうになったあの感覚を……また味わわなければならないんだろうか。


たまらなく不安で、怖かった。



「大丈夫だ」



──その時、はっきりと聞こえた。

私がずっと求めていた、その言葉が。



「お前の目に映ってるのは何なんだよ。生きてんだろ、ジローちゃんは。ちゃんと生きてきたんだよ。これからも、生きるんだよ」



力強い声だった。

芯の通ったその響きは、私の不安を一蹴してしまうほど凛としていて、何の迷いもなく言い切ってくれた。



「だから、大丈夫だ」



私の頭に、ぽんと置かれる大きな手。

欲しかった温もりをくれたのは──優しい瞳をした、ハイジだった。