気まぐれヒーロー2




私には、


「お前はここにいないといけねえ。怖くても、目を逸らすな」


真っ直ぐな瞳で、彼は告げた。


けれどその後、ふっと優しく笑ってくれた。


「口下手なんだよなぁ、基本的に。聞き届けてやってくれねえか?お前は、わかってやれるはずだ。……アイツらを変えた、お前なら」


タイガとジローさんを見つめるその眼差しには、穏やかな思いやりが透けて見える。
声にも、揺るぎない信頼が感じられた。


だから、彼の言葉に従おうと思った。


ちゃんと彼らの想いを理解できる自信なんてない。

けれど、それでも──全身で受け止めようと心に誓った。
全身で、彼らの“声”を感じ取ろうと。


飛野さんに小さく頷くと、彼は朝美を連れて歩き出した。

私は険しい表情のまま、その背中を見送った。

伝えたい言葉を胸に秘めたまま。



飛野さん……


そっち、出口じゃないですよ──と。



“飛野さん、あっちっスよ、あっち!!”



あらぬ方向へ進む飛野さんに、周りのおにーさんが小声で出口を指差す。

飛野さんは「む……」と一旦立ち止まり、そちらを振り返った。

ちょっと考え込んだ後、バツの悪さを誤魔化すように床の空き缶を拾い始める。


「俺はコレをゴミ箱に捨てようと思っただけなんだよ!!大体お前ら、ゴミはポイ捨てすんなって習っただろうが!」


誰が聞いてもバレバレの嘘を並べ立てながら、飛野さんはようやく正しい出口──倉庫の扉へと歩み出した。
両手いっぱいに空き缶を抱えて。

朝美に「センパイってぇ、おもしろいんですね~。んふっ」と絡まれた飛野さんは、苦笑いを浮かべていた。

イケメンハンター朝美様のセンサーが、どうやら飛野さんに反応したらしい。

そんなこんなで二人が去った後。


残されたのは、私とハイジ、そして……タイガとジローさん。


離れた場所で、鷹のメンバー達が固唾を飲んで見守っていた。