私には、
「お前はここにいないといけねえ。怖くても、目を逸らすな」
真っ直ぐな瞳で、彼は告げた。
けれどその後、ふっと優しく笑ってくれた。
「口下手なんだよなぁ、基本的に。聞き届けてやってくれねえか?お前は、わかってやれるはずだ。……アイツらを変えた、お前なら」
タイガとジローさんを見つめるその眼差しには、穏やかな思いやりが透けて見える。
声にも、揺るぎない信頼が感じられた。
だから、彼の言葉に従おうと思った。
ちゃんと彼らの想いを理解できる自信なんてない。
けれど、それでも──全身で受け止めようと心に誓った。
全身で、彼らの“声”を感じ取ろうと。
飛野さんに小さく頷くと、彼は朝美を連れて歩き出した。
私は険しい表情のまま、その背中を見送った。
伝えたい言葉を胸に秘めたまま。
飛野さん……
そっち、出口じゃないですよ──と。
“飛野さん、あっちっスよ、あっち!!”
あらぬ方向へ進む飛野さんに、周りのおにーさんが小声で出口を指差す。
飛野さんは「む……」と一旦立ち止まり、そちらを振り返った。
ちょっと考え込んだ後、バツの悪さを誤魔化すように床の空き缶を拾い始める。
「俺はコレをゴミ箱に捨てようと思っただけなんだよ!!大体お前ら、ゴミはポイ捨てすんなって習っただろうが!」
誰が聞いてもバレバレの嘘を並べ立てながら、飛野さんはようやく正しい出口──倉庫の扉へと歩み出した。
両手いっぱいに空き缶を抱えて。
朝美に「センパイってぇ、おもしろいんですね~。んふっ」と絡まれた飛野さんは、苦笑いを浮かべていた。
イケメンハンター朝美様のセンサーが、どうやら飛野さんに反応したらしい。
そんなこんなで二人が去った後。
残されたのは、私とハイジ、そして……タイガとジローさん。
離れた場所で、鷹のメンバー達が固唾を飲んで見守っていた。


