気まぐれヒーロー2




飛野さん、とってもウブな人なのに、タイガと一緒にいる確率が高いのはなんでなんだろう。


……飛野さん、彼女いるのかな。

でも一応、彼もヤンキーなんだよね?女の子と遊んだりしてるのかな。

タイガ、ハイジ、ケイジくんは聞いてる限り、かなり女関係乱れてるみたいだけど。


そんな中で、飛野さんの恋愛事情だけが謎すぎて、気になり出したら止まらなくなってしまった。

純情なフリして、裏じゃタイガ達よりすごい夜の帝王だったらどうしよう!!とかドキドキしたりして。

でも彼女の有無なんて、さすがに聞きづらいしなぁ。

男前だし、背はすっごく高いし、料理できるし優しいし……きっとモテるよね。

すぐ迷子になっちゃうから、目を離したら危ないけど。


──そんなことを考えていた、その時だった。



「立て」



背後から、低く太い声が唐突に降ってきた。
思わずビクリと肩が跳ねて、私は慌てて振り向いた。


そこに立っていたのは、今まで黙って全てを見ていた彼。

ライオンのたてがみのようなブロンドの髪と、鋭く光る青い瞳。

ハレルヤさんだった。

飛野さんよりも背が高く、筋骨隆々とした体格。
滲み出るオーラは、息を飲むほどに圧がある。

そんな彼が静かに視線を落とし、声をかけたのは──コンクリートの上にへたり込んだままの、翔桜の男達だった。

冷たすぎるその眼差しに射竦められれば、選択肢は一つしかない。

従う。それだけ。



「早くしろ」



ハレルヤさんの声は低く、淡々としているのに、妙に重たく響いた。
気力を根こそぎ削がれた翔桜の男たちは、フラフラと立ち上がり、まるで糸で操られるように彼の後に続く。

「来い」——その一言を残し、ハレルヤさんは堂々と倉庫の扉へ向かっていった。

……その背中が消えるのと同時に、空気がぴんと張り詰める。



「オメーは、アイツらの仲間か」



冷徹な低い声。
目をやると、その主はタイガだった。



「あ、あの……」



彼の冷え切った眼差しに晒されて、おろおろと視線を泳がせる朝美。

その震える声が、静まり返った倉庫にかすかに響いた。