飛野さん、とってもウブな人なのに、タイガと一緒にいる確率が高いのはなんでなんだろう。
……飛野さん、彼女いるのかな。
でも一応、彼もヤンキーなんだよね?女の子と遊んだりしてるのかな。
タイガ、ハイジ、ケイジくんは聞いてる限り、かなり女関係乱れてるみたいだけど。
そんな中で、飛野さんの恋愛事情だけが謎すぎて、気になり出したら止まらなくなってしまった。
純情なフリして、裏じゃタイガ達よりすごい夜の帝王だったらどうしよう!!とかドキドキしたりして。
でも彼女の有無なんて、さすがに聞きづらいしなぁ。
男前だし、背はすっごく高いし、料理できるし優しいし……きっとモテるよね。
すぐ迷子になっちゃうから、目を離したら危ないけど。
──そんなことを考えていた、その時だった。
「立て」
背後から、低く太い声が唐突に降ってきた。
思わずビクリと肩が跳ねて、私は慌てて振り向いた。
そこに立っていたのは、今まで黙って全てを見ていた彼。
ライオンのたてがみのようなブロンドの髪と、鋭く光る青い瞳。
ハレルヤさんだった。
飛野さんよりも背が高く、筋骨隆々とした体格。
滲み出るオーラは、息を飲むほどに圧がある。
そんな彼が静かに視線を落とし、声をかけたのは──コンクリートの上にへたり込んだままの、翔桜の男達だった。
冷たすぎるその眼差しに射竦められれば、選択肢は一つしかない。
従う。それだけ。
「早くしろ」
ハレルヤさんの声は低く、淡々としているのに、妙に重たく響いた。
気力を根こそぎ削がれた翔桜の男たちは、フラフラと立ち上がり、まるで糸で操られるように彼の後に続く。
「来い」——その一言を残し、ハレルヤさんは堂々と倉庫の扉へ向かっていった。
……その背中が消えるのと同時に、空気がぴんと張り詰める。
「オメーは、アイツらの仲間か」
冷徹な低い声。
目をやると、その主はタイガだった。
「あ、あの……」
彼の冷え切った眼差しに晒されて、おろおろと視線を泳がせる朝美。
その震える声が、静まり返った倉庫にかすかに響いた。


