流れる涙は決して、悲しみに暮れる涙じゃない。
“鴉”は“鷹”に生まれ変わった。
お兄ちゃんの誇りや夢、生きた軌跡が消えてしまわないように。
彼らが、生かしてくれている。
切なくて、でも嬉しくて。
どうしようもなく胸を締めつける。
「……やっぱりオメーは、俺達の仲間にはなれねえ」
不意に、控えめながらも真剣な声がぽつりと、私の耳に届いた。
その言葉を口にしたのは──私の視線の先にいる、金色のトラ。
私は“鷹”にはなれない。
言い渡された現実に、愕然とするものの、仕方ないと受け止めるしかなかった。
彼らがそう……決めたのなら。
私を、受け入れてくれないのなら。
「そ~んなナキムシなお姫さんはよォ」
「……へ?」
次の瞬間、よく聞き慣れた能天気な声に、不意を突かれた。
ぽかんとする私に、タイガが浮かべてみせたのは──
いつもの、意地悪くも温かい笑み。
「お姫さまってのは、守られんのが専売特許だろ?」
「……飛野さん……」
屈託のない笑顔を見せながら、飛野さんがタイガに続く。
そして──
「ま、そういうことだな。お前は、大人しく守られてりゃいいんだよ」
ハイジが。
いっつも私をからかってくる、あの嫌味なアイツが。
今は、穏やかに笑っていた。
初めて、私に優しい笑顔を向けてくれたんだ。
──ほらね。
彼らは、どこまでも私のヒーローでいてくれる。
お兄ちゃん。
やっと、わかったよ。
お兄ちゃんの意志を、彼らはちゃんと受け継いでる。
私をそうとは知らずに、守ってくれていた。
旅立ってしまった今でも──
お兄ちゃんは、私を見守ってくれてるんだね。
不器用だけど、心優しい仲間たちとの縁を繋いで、私を守ってくれてたんだね。


