気まぐれヒーロー2




「でも……助けてくれた」



知らないということが、どれほど危険で愚かなのか。

自分達と共に歩むということは、常にリスクを背負い、傷つくことも血を見ることも覚悟しなければならないということ。



「助けに来てくれた……そうでしょ?」



わざと私を追い詰めるようなフリをして、タイガは試してる。

私が怖じ気づかないか、逃げ出したくならないか……それでも一緒にいられるのか。

それを、見極めてる。



「それはお前だからだ。他の女だったら、知ったこっちゃねえ」



尚も冷たく突き放すタイガに、私は怯まなかった。

きっと、それが彼の本心じゃないとわかっているから。


まだ出会って間もない頃、魁帝のヤツらに絡まれた私と小春を救ってくれた。

魁帝との間には『ルール』があるはずなのに、それを破ってまで手を差し伸べてくれた。


“夢を抱くな”と、自分達もそこらのチンピラと何ら変わりはないと、言われたけれど。


面倒事や争いから目を逸らし合う、こんな非情な世の中で……誰もが背を向けたとしても。

彼らは私の声に耳を傾け、応えてくれた。

見返りも求めず、ただ、そこにいてくれた。


世間から“ハミダシモノ”だと蔑まれても、本当は誰よりも情に厚いことも……私は傍で見てきたんだ。



「……みんなはさ、チンピラなんかじゃないよ。やっぱり、ヒーローなんだよ」



胸のざわめきが、不思議と凪いでいく。

荒々しい言葉で覆ったとしても、人としての温かさを確かに感じていた。

こみ上げてくる衝動を、抑えることができない。



「まだ言ってんのかオメーは。妄想に(ふけ)んのもほどほどにしと──」
「だって!!」



うすうす……そうなんじゃないかと、思っていた。


ジローさん。ハイジ。飛野さん。タイガ。ここにはいないけど、ケイジくん。


そして、彼らを慕い、集う……大勢の仲間達。



きっと。


きっと、そうだって。




ねえ



──お兄ちゃん。




「だって……ここは……」




湧き上がる想いに、目頭が熱くなっていくのを、どうしても止められない。



懐かしいあの笑顔が、今でも鮮明に蘇る。


私の心の奥で、輝きを失わない。



私の、永遠の太陽だから。



何年経っても色褪せない。


大好きで大好きで、たまらない──響兄ちゃん。






「“鷹”は、“鴉”なんでしょう?」






熱い涙が一筋、頬を伝った。