「でも……助けてくれた」
知らないということが、どれほど危険で愚かなのか。
自分達と共に歩むということは、常にリスクを背負い、傷つくことも血を見ることも覚悟しなければならないということ。
「助けに来てくれた……そうでしょ?」
わざと私を追い詰めるようなフリをして、タイガは試してる。
私が怖じ気づかないか、逃げ出したくならないか……それでも一緒にいられるのか。
それを、見極めてる。
「それはお前だからだ。他の女だったら、知ったこっちゃねえ」
尚も冷たく突き放すタイガに、私は怯まなかった。
きっと、それが彼の本心じゃないとわかっているから。
まだ出会って間もない頃、魁帝のヤツらに絡まれた私と小春を救ってくれた。
魁帝との間には『ルール』があるはずなのに、それを破ってまで手を差し伸べてくれた。
“夢を抱くな”と、自分達もそこらのチンピラと何ら変わりはないと、言われたけれど。
面倒事や争いから目を逸らし合う、こんな非情な世の中で……誰もが背を向けたとしても。
彼らは私の声に耳を傾け、応えてくれた。
見返りも求めず、ただ、そこにいてくれた。
世間から“ハミダシモノ”だと蔑まれても、本当は誰よりも情に厚いことも……私は傍で見てきたんだ。
「……みんなはさ、チンピラなんかじゃないよ。やっぱり、ヒーローなんだよ」
胸のざわめきが、不思議と凪いでいく。
荒々しい言葉で覆ったとしても、人としての温かさを確かに感じていた。
こみ上げてくる衝動を、抑えることができない。
「まだ言ってんのかオメーは。妄想に耽んのもほどほどにしと──」
「だって!!」
うすうす……そうなんじゃないかと、思っていた。
ジローさん。ハイジ。飛野さん。タイガ。ここにはいないけど、ケイジくん。
そして、彼らを慕い、集う……大勢の仲間達。
きっと。
きっと、そうだって。
ねえ
──お兄ちゃん。
「だって……ここは……」
湧き上がる想いに、目頭が熱くなっていくのを、どうしても止められない。
懐かしいあの笑顔が、今でも鮮明に蘇る。
私の心の奥で、輝きを失わない。
私の、永遠の太陽だから。
何年経っても色褪せない。
大好きで大好きで、たまらない──響兄ちゃん。
「“鷹”は、“鴉”なんでしょう?」
熱い涙が一筋、頬を伝った。


