気まぐれヒーロー2




ジローさんって、何なんだろう。ほんとに何考えてるんだろう。
『ジロー解明図鑑』なんてものがあったら、迷わず買っちゃう。それくらい、掴めない人。

それにしても……私、ジローさんといたら確実に寿命すり減ってく。心臓もたない。

自覚してるのか、無自覚なのか……。

……いや、絶対ジローさんは無自覚だ。
私を瞬殺しちゃうほどの色気を、お構いなしに垂れ流してくるんだからタチが悪い。

ほんと、自覚してほしい。
自分がちょっぴり流し目しちゃうだけで、女の子の心臓が発作起こしちゃうってこと。

ある意味、ジローさんも凶器なのかも……。


未だに手を離してくれないジローさんに赤面してもじもじしてると、彼は私の耳元に唇を寄せ、追撃を仕掛けてきた。



“『おて』しろよ”



吐息が微かに触れる。
ゾクゾクしてしまうのがバレないよう、必死なのに。



“なっ、なな、何言ってんですか!!こんなとこでできるわけないでしょう!?”

“じゃあ舐めろよ”

“だから、む、無理ですってば!!それに『じゃあ』の意味がわかんないんですけど!?『じゃあ』の使い方間違ってると思うんですけど……!!”

“お前が舐めねえんなら、俺が舐めるよ。舐めさせろよ”



不敵な笑みを浮かべるジローさんに見惚れ……じゃなくてヒヤリとする。


何を血迷ったのか、私は。




「な、舐めちゃダメ!!!」




驚くほど威勢の良い声が、咄嗟に飛び出した。

静まり返る倉庫に、見事なくらい反響する。


微妙な間の後、あちこちからわざとらしい咳払いが聞こえた。


──なんかこういうの、前にもあった気がする。


心を無にした。

『え~、私今何か言ったっけ~?』って顔をして、平然を装ってみた。


ハイジと目が合うと「あ、靴紐が」とか言いながら、解けてもない靴紐をしゃがんで結び直していた。


飛野さんにいたっては、

「こ、高校生のうちからそーいう不純な関係は俺は良くないと思うぞ!?もっとこう、な!!年相応の付き合い方ってもんがあるだろう!!」

と、まるで年頃の娘を心配する父親のようなセリフを、動揺しながら口にしていた。

顔もトマトみたいに赤かった。



そして最後は──



「ベッドの中でしてくんねえかな~そんな卑猥なやり取りはよ~。あ、もしやアレかオメーら。そういうプレイか?人に見せつけねえと興奮しねえとか、そーいう性癖か!?マゾか!?真性のマゾなのか!?すげえ迷惑だなオイ!!」



得意分野だけあって、一番生き生きしていたのはタイガだった。