気まぐれヒーロー2




もう、ね。ほら……ね。

なんていうかさ……ねえ、もう言葉も出ないよ……。


一瞬気を失いかけたけど、どうにか踏ん張った。

本当なら発狂して走り去るところだけれど、それも思いとどまった。

私はただ廃人と化すだけだった。


私のブラさん……ついに太郎さんだけじゃなく、大勢の男達の前で華々しくデビューを飾ってしまったのね……。

パンダにはなるわ、みんなの目にお色気なんてちっとも感じさせないブラさんを、知らずうちにひけらかしてるわで……。
私って……ヘンテコな痴女もどきじゃないの……。

タイガに偉そうにエロを注意することも、これからはできなくなるんじゃ……。

『オメーはブラジャー見せびらかしてたのにな~』なんて言われたら、軽く死ねる。


気まずいながらも、飛野さんの方に視線を送ってみた。

飛野さんはとっても不自然に、私から目を逸らした。目が泳いでいた。


純情な飛野さんには、きっと私のブラジャーさんに警告するなんてできなかったに違いない。
されたところで相手が飛野さんだったら、私はもう失神していただろう。

エロいのが通常のタイガだったから、まだよかったのかもしれない。


それから、ハイジにも目を向けたら──


“ばーか”


口パクでヤツは私にそう言ってきた。


それを見た瞬間。
全身のありとあらゆる細胞達が、『ハイジ抹殺』を実行するべく雄叫びをあげた。
けれど残った僅かな理性がやめるよう説得してくれたから、どうにか殺人衝動を抑えることができた。


恥ずかしすぎて、ジローさんの顔を見ることなんて無理だった。

だから結局、戻るところはタイガだった。


「……ごめんなさい、制服濡らしちゃった。クリーニングして返すから……」

「いらねー。オメーにやるよ」


……いやいや、私もいらないんですが。
タイガに憧れてる子なら、尋常じゃないくらい喜ぶんだろうけれど、私だし。

タイガがいらなかったとしても返すしかない。


とりあえず、ジローさんを止められたことにこの時は安堵していた。

このまま何事もなく、誰も血に染まることなく済むって、思ってたんだ。


なぜ、私が“黒鷹”を見せられたのか。

なぜ、朝美も一緒に来たのか。

なぜ……翔桜の男達までここへ連れてこられたのか。


それらを一つも、解決してなかったのに──。