もう、ね。ほら……ね。
なんていうかさ……ねえ、もう言葉も出ないよ……。
一瞬気を失いかけたけど、どうにか踏ん張った。
本当なら発狂して走り去るところだけれど、それも思いとどまった。
私はただ廃人と化すだけだった。
私のブラさん……ついに太郎さんだけじゃなく、大勢の男達の前で華々しくデビューを飾ってしまったのね……。
パンダにはなるわ、みんなの目にお色気なんてちっとも感じさせないブラさんを、知らずうちにひけらかしてるわで……。
私って……ヘンテコな痴女もどきじゃないの……。
タイガに偉そうにエロを注意することも、これからはできなくなるんじゃ……。
『オメーはブラジャー見せびらかしてたのにな~』なんて言われたら、軽く死ねる。
気まずいながらも、飛野さんの方に視線を送ってみた。
飛野さんはとっても不自然に、私から目を逸らした。目が泳いでいた。
純情な飛野さんには、きっと私のブラジャーさんに警告するなんてできなかったに違いない。
されたところで相手が飛野さんだったら、私はもう失神していただろう。
エロいのが通常のタイガだったから、まだよかったのかもしれない。
それから、ハイジにも目を向けたら──
“ばーか”
口パクでヤツは私にそう言ってきた。
それを見た瞬間。
全身のありとあらゆる細胞達が、『ハイジ抹殺』を実行するべく雄叫びをあげた。
けれど残った僅かな理性がやめるよう説得してくれたから、どうにか殺人衝動を抑えることができた。
恥ずかしすぎて、ジローさんの顔を見ることなんて無理だった。
だから結局、戻るところはタイガだった。
「……ごめんなさい、制服濡らしちゃった。クリーニングして返すから……」
「いらねー。オメーにやるよ」
……いやいや、私もいらないんですが。
タイガに憧れてる子なら、尋常じゃないくらい喜ぶんだろうけれど、私だし。
タイガがいらなかったとしても返すしかない。
とりあえず、ジローさんを止められたことにこの時は安堵していた。
このまま何事もなく、誰も血に染まることなく済むって、思ってたんだ。
なぜ、私が“黒鷹”を見せられたのか。
なぜ、朝美も一緒に来たのか。
なぜ……翔桜の男達までここへ連れてこられたのか。
それらを一つも、解決してなかったのに──。


