……何?なんでこんなところに……?
辿り着いた先が巨大な倉庫だったということよりも、もっと度肝を抜かれたのは──
何十台もの、ギラついた大型バイクが倉庫の前に群がっていたことだった。
百台近くあるんじゃないかと思った。
そして、それだけのバイクがあるということは、その持ち主達も当然いるということ。
見るからに危険な匂いを漂わせる男達が大勢、倉庫の正面に集まり騒いでいた。
心臓を直接叩きつけてくるかのような、バイクのエンジンの重低音。
獣の咆哮を思わせる、百人近い男達の喧騒。
それらが辺り一帯を満たし、あらゆる音が共鳴し合っていた。
幾つものライトが闇を払い、電灯がなくても周囲をはっきり見渡せる。
もしやこれが俗に言う……“集会”とかいうヤツなの!?
ぼ、暴走族なの!?この人達……!!?
以前、南高の前でジローさん達が多くの男を従えていたのを見たことはあるけれど……規模が違う。
バリバリと夜空にまで響き渡るエンジン音は空気を引き裂くほどで、数が桁違いだ。
それだけじゃない。
私達の乗る車以外にも数台が横付けされ、クラクションの音も加わって騒音は極まっていた。
初めて目にする、異質な光景。
異様な雰囲気。
そのうえ、余裕のなさそうなタイガが余計に私の緊張を煽ってくる。
そっと、タイガを盗み見た。
また怒られたくないから、気にかけてないふりしながら。
相変わらず、無音の車内。
一秒一秒が、やけに長い。
ごくりと唾を飲み込み、タイガがどう出るか窺っていたら──
ついに、その本人が沈黙を破った。
「ションベン!!」
ヤツは一言、そう叫び。
ドアを開けて飛び出していった。
後に残された私と朝美と飛野さんの間には、妙な空気が流れる。
やるせない気持ちを抑えきれず、私は飛野さんに問い掛けた。
「……飛野さん、まさか……今のが、ヤツの急いでた理由なんですか……」
「花鳥、アイツはあーいう男だ」
飛野さんはとても清々しい顔で、答えた。
……ああああ!!
もおおお何なんだよおおお!!!?
無駄にハラハラしちゃったじゃんかよおおお!!!
『あの金髪ヤロウの膀胱を暴行してやろうか、うへへへ!』なんて悪魔の声が、私の脳みそに木霊していた。


