今からジローさんと会う。
その緊張に押し潰されそうで、膝の上で両手を握りしめた。
どんな顔して、会えばいいんだろう。
会って、何を話せばいいんだろう。
のこのこ来やがって、とか。
図々しい、厚かましい……そう思われたら?
また、あの冷え切った眼差しで冷たい言葉を投げられたら……?
私は、耐えられる?冷静でいられる?
タイガ、いるよ……理由。
ジローさんに会うための、口実。
それがなきゃ、私とジローさんが顔を会わせてもいいわけがない。
許してもらえないかもしれない。
私……どうしたらいいんだろう。
「ジローには言ってあるんだろうな」
「まだ」
「おいおい、どーすんだ!手ェつけられねえって、さっき連中から連絡きて責められたばっかだぞ!!」
「んなこと言ってもよォ、見つかったって言ってみろよ。アイツ、周りのヤツら殺してでもすっ飛んでくんぞ。そっちの方がだりィって。ケツ持たされんのはどーせ俺らなんだからよ」
……さっきから、二人は一体何の話をしてるんだろう。
飛野さん、笑い声をあげてとっても楽しそうだし。
タイガはタイガで、正反対に疲れた顔してる。
私……もしかして、とんでもなく迷惑かけてる?
いや、『もしかして』じゃなくて、そうだよね!?かなり迷惑かけてるよね!?
だって私を捜して、助けてくれたんだもん。
その分、二人の……ううん、ハレルヤさんやおにーさん達の時間まで私一人に使わせてしまった。
誰も何も言わないけど。表情にすら出さないけれど。
……私が気をつけていれば、こんなにも沢山の人を煩わせることなんてなかったのに。
「……ごめんなさい」
「ん?どうした、急に」
消え入りそうな声で漏らすと、飛野さんがバックミラー越しに不思議そうな目を向けてきた。
私が言葉を続ける前に、横から割り込んできたのは──
「『私のせいで迷惑かけちゃってごめんなさい』だろ~?ああ、そーだな。俺なんかよォ、ラブホから直行だぜ?これからめくるめくカンノウのセカイにどっぷり浸かろうって時によ~、バカみてえにスマホが鳴りやがった。んで、『来い』だ。萎えた。一気に萎えた。わかるか?あん時の俺の切なさが」
「……」
夜の帝王だった。
機関銃のごとく捲し立てるタイガの18禁すれすれのトークに、車内は静まり返る。
……かと思ったら、朝美は爆笑していた。ツボったらしい。
恋愛レベル0の私には、下ネタで笑うなんて高等テクはまだ身についていなかった。


