やっとのことで部屋を後にすると、廊下にうちの制服を着た男の人たちが十人近く立っていて、ぎょっとした。
「あー!!姐さん、無事だったんですね!?……いや、無事じゃないじゃないッスか!!アイツら、許せねえ!!!」
よく見たら、白鷹ファミリーのおにーさん達だった。
私の散々な身なりに、みんなの目が血走っていた。正直恐ろしかった。
な、なぜおにーさん達までもが集合してるの!?
とドキマギする私の隣で、タイガがダルそうに口を開く。
「オメーら、なんだその『姐さん』ってのは。それともうカタはついてる。中にミッチーがいる。後は任せたぞ」
タイガの指示におにーさん達は了承し、威勢良く部屋の中へ入っていった。
そのまま歩き出すタイガに、私と朝美も続く。
店員さんには奇妙な目でジロジロ見られたけど、タイガが営業スマイルを浮かべて「どーもお騒がせしてスイマセンでした」とお金を払ってくれたおかげで、何のお咎めもなかった。
他のお客さんにちらちら見られても、それもタイガの一睨みで一蹴される。
そうやって、この人は守ってくれている。
何気ない仕草も、さりげない行動も、全部が私を思いやってくれてることもわかるんだ。
やっぱりタイガは──優しい。
「乗れ」
カラオケ店を出ると、外はすっかり夜に変わっていて、月が朧気な光で地上を照らしていた。
店の前には……あの黒塗りの車。太郎さんの車が、停まっていた。
タイガはさっさと助手席に乗り込んでしまったので、私は後部座席のドアを開けて朝美を先に乗せ、自分も乗り込んでドアを閉めた。
「よっ」
「飛野さん!」
運転席には飛野さんがいて、私を見るなりにこっと笑い、気軽に声をかけてくれた。
そんなに久しぶりなわけでもないのに、すごく懐かしく感じて思わず顔が綻ぶ。
「大丈夫か」
「あ……はい」
「オトモダチも」
「え……あ、はーい!大丈夫でーす」
飛野さんは私の横にいる朝美のことも気にかけ、彼女にも笑顔で接してくれた。
タイガは朝美に対して冷たかったけれど、飛野さんは大人で、その心遣いに感謝した。
私の格好を見れば只事じゃなかったのは明白なのに、私が「大丈夫」って言ったから。
飛野さんはそれ以上、何も追求せずにいてくれた。
朝美への疑いはまだ晴れないけれど、とにかくあの悪夢から抜け出せたことで、今は安心しきっていた。


