気まぐれヒーロー2




やっとのことで部屋を後にすると、廊下にうちの制服を着た男の人たちが十人近く立っていて、ぎょっとした。


「あー!!姐さん、無事だったんですね!?……いや、無事じゃないじゃないッスか!!アイツら、許せねえ!!!」


よく見たら、白鷹ファミリーのおにーさん達だった。

私の散々な身なりに、みんなの目が血走っていた。正直恐ろしかった。


な、なぜおにーさん達までもが集合してるの!?

とドキマギする私の隣で、タイガがダルそうに口を開く。


「オメーら、なんだその『姐さん』ってのは。それともうカタはついてる。中にミッチーがいる。後は任せたぞ」


タイガの指示におにーさん達は了承し、威勢良く部屋の中へ入っていった。


そのまま歩き出すタイガに、私と朝美も続く。

店員さんには奇妙な目でジロジロ見られたけど、タイガが営業スマイルを浮かべて「どーもお騒がせしてスイマセンでした」とお金を払ってくれたおかげで、何のお咎めもなかった。


他のお客さんにちらちら見られても、それもタイガの一睨みで一蹴される。

そうやって、この人は守ってくれている。


何気ない仕草も、さりげない行動も、全部が私を思いやってくれてることもわかるんだ。

やっぱりタイガは──優しい。



「乗れ」



カラオケ店を出ると、外はすっかり夜に変わっていて、月が朧気な光で地上を照らしていた。

店の前には……あの黒塗りの車。太郎さんの車が、停まっていた。

タイガはさっさと助手席に乗り込んでしまったので、私は後部座席のドアを開けて朝美を先に乗せ、自分も乗り込んでドアを閉めた。



「よっ」

「飛野さん!」



運転席には飛野さんがいて、私を見るなりにこっと笑い、気軽に声をかけてくれた。


そんなに久しぶりなわけでもないのに、すごく懐かしく感じて思わず顔が綻ぶ。


「大丈夫か」

「あ……はい」

「オトモダチも」

「え……あ、はーい!大丈夫でーす」


飛野さんは私の横にいる朝美のことも気にかけ、彼女にも笑顔で接してくれた。

タイガは朝美に対して冷たかったけれど、飛野さんは大人で、その心遣いに感謝した。


私の格好を見れば只事じゃなかったのは明白なのに、私が「大丈夫」って言ったから。

飛野さんはそれ以上、何も追求せずにいてくれた。


朝美への疑いはまだ晴れないけれど、とにかくあの悪夢から抜け出せたことで、今は安心しきっていた。