でも、だからこそ……彼らの仲間で在りたいと願えば願うほど、信じたいと思えば思うほど。
赤い血に拳を濡らす彼らから、目を背けてしまう。
そんな一面も引っくるめて彼らなのだと、承知の上なのに。
宇宙人なジローさんや、エロいタイガ。
意地悪なハイジに、たこやきプリンスなケイジくん。
純情で方向音痴な、飛野さん。
私に見せてくれる彼らの顔に触れていくほどに……その顔が獣へと変貌してしまうことを、寂しく思ってしまう。
「行くぞ」
しょぼくれていると、タイガが私に声をかけた。
どこに行くの?なんて問いかける間もなく、タイガは私に背を向けて歩き出す。
けれどすぐに立ち止まり、顔だけを横へ向けて、ぽつりと言葉を落とした。
「お前も来い」
朝美へと。
タイガは朝美にも、ついてこいと言う。
どこへ行くかも告げないのに、それを聞くことすらさせてはくれない。
案の定、朝美は「え、え、アサミも行っていいんですかぁ!?」と大はしゃぎだったけど、
「オイ、ちょっとはそのうざってえ口……閉じてらんねえのか」
苛立ちを露わにしたタイガの眼差しと声色に、さすがの朝美様も黙らざるを得なかった。
やっぱり、タイガがいつものタイガじゃない。
こんなに気が立っているタイガを、私は見たことがない。
なんだかんだで、タイガは調子を崩さない。
どんな緊迫した場面でも、余裕ぶった態度でその時を愉しむことを忘れないから。
だから余計に……悲しみが深さを増すだけだった。
「……ミッチー」
部屋を出ようとした時、不意に、翔桜の男達と対峙するハレルヤさんにタイガは目をやった。
「手加減しろよ。潰しちまったら、運ぶ手間がかかるからよ」
ほんの……ほんのちょっとだけだったけど、照れくさそうにそう言ったタイガの横顔を、私は目を丸くして見つめていた。
「……いつからそんな甘くなった」
ハレルヤさんは不機嫌そうに眉を寄せたけど、私は嬉しかった。
タイガの言葉が、“あまり痛めつけるな”という意味だったことも伝わったから。
タイガが私の“声”を聞いてくれたことが、たまらなく嬉しかった。
「タイガ……ありがとう。お願い聞いてくれて、ありがとう」
「バカかお前、そうじゃねーよ!自力で歩かせねーと面倒だって言ってんだよ!!んなキラキラした目で俺を見るな!!俺はお前の飼い主じゃねーんだよ、甘えてもビーフジャーキーは出てこねえからな!?」
「……トラさん、私、ほねっこでいい」
「ほねっこもねーよ!つーかなんで今さら『トラ』なんだ!!」
いつもの声で、いつものテンションで、タイガが笑うから。
私も、笑えた。
胸が温かくなった。


