気まぐれヒーロー2




「私……“タマ”だもん……」

「……は?」




“可愛いな、お前”

“お前に嫌な思いさせたくねえ。お前に嫌われんのは、キツい”




他の人の前では無口なのに、私にはいっぱい話してくれるジローさん。




“俺はお前と散歩にも行きてえし、『おて』もしてくれねえとイヤだ。頭も撫でてえし、首輪も着けてるとこ見てえ”




照れながらも、精一杯思いを伝えてくれたジローさん。




“まさかオトモダチがウサギとはな”




小春を、ウサギだと思い込んでるジローさん。


すぐ鼻血出しちゃうジローさん。




“うぷっ”




限界超えると、吐いちゃうらしいジローさん。




“俺の、永遠の憧れ”




響兄ちゃんを……そう言ってくれた、ジローさん。


私が大好きな響兄ちゃんを、同じように好きになってくれた。




“タマ、来いよ”




微かにだけど、笑ってくれたジローさん。


大きい手で、頭をなでなでしてくれた。



「私はタマなんだもん……!!」



ちょっとだけ、考えたりもした。


他の人を好きになれば。
朝美の言うように、新しい恋をすれば。

ジローさんのこと、諦められるのかなって。

忘れられるかもしれないって。


でも、そうじゃなかったんだ。
逆だった。


別の男の子といればいるほど、想うのはジローさんのことだけだった。

薄れるどころか、どんどん気持ちは痛みを伴って濃くなるだけだった。


他の誰より好きなんだと、より強く……心に刻み込まれるだけだった。


私、もう取り返しのつかないところまで来てる。



ジローさんじゃなきゃ、ダメだ。


傍にいたいのも、全部知りたいと思うのも。

触れられたいと思うのも。

何をするにも──



ジローさんがいい。


ジローさんじゃなきゃ、イヤ。


ジローさんだけなの。



私も、“タマ”がいい。

知らない人に“もも”って、呼び捨てにされるくらいなら。

ジローさんが呼ぶ、“タマ”でいい。


ジローさんが私を柔らかく呼んでくれる、“タマ”が恋しい。