「あーよかった。これで人違いだったら、マジ俺バカじゃん?すっげえ緊張したって」
「アサミもぉ、ちょードキドキして待ってたんだからぁ」
「ねーねーアサミちゃん、その子も紹介してよ」
「あ、うん。この子はぁ、ももっていうの~」
「ももちゃん?カワイーじゃん、よろしく」
二人組は茶髪と黒髪で、見た感じ……かなり軽そう。
女の子慣れしてるのが、喋り方や雰囲気で何となく伝わってくる。
ハイジ達みたいに一見ガラが悪そうなヤンキーじゃなくて、どちらかといえば、かっちゃん系のオシャレな男の子。
けれど、彼らが着ているのは……あの翔桜高校の制服だった。
魁帝の次にヤンキーが多いと噂される、あまり良くない評判が絶えない学校の生徒。
アサミの知り合いなの……?
なんで……?
「こーいうの初めてなんだけどさぁ、二人とも可愛いし来てよかったよ」
「だよなー、俺もビビったって」
「やだ~、可愛いだってもも!!アサミがプロデュースしたんだもんね~」
翔桜の二人は私達の正面の椅子に腰掛け、まるでお見合いみたいに向かい合う形になった。
茶髪がユウくんで、黒髪がヒロくんらしい。
アサミはすでに二人と打ち解けていて、表情をコロコロ変えながら会話を弾ませていた。
薄々、私もこれがどういうことなのか察し始めていた。
朝美が私にメイクをしたのも、髪をセットしてスカートを短くしたのも……彼らに合わせるため。
このファーストフード店で、待ち合わせをしていたんだろう。
まさか朝美が翔桜の生徒と知り合いだったなんて、思いもしなかったけれど。
でも……何のために?
どうして、私だったの?
紹介するなら、他の子だっていたはず。
だって私は、朝美とそこまで仲が深いわけじゃない。
それに朝美だって、いくら空気読めなくたってわかってるはずだ。
私がこんな、合コンみたいな場に適した性格じゃないことくらい。
「ほらぁ、暗い顔してないでももも何か喋ってよぉ」
「えっ、あ、……」
「なんだ、ももちゃんってさぁ、人見知りするタイプ?」
「はい、まあ……」
「ははっ、『はい』って。タメなんだからさ、敬語はないっしょ」
どっと、場が笑いに包まれる。
けど、私だけは笑えなかった。何が面白いのかもわからない。
それどころか、不快とさえ思ってしまう。
だって私は、初対面の人にそんなにすぐ気を許して話すことなんてできない。
苦手なんだ。
相手との距離を測ろうともせず、閉じていた扉をこじ開けるみたいに一方的に踏み込んでこられるのが、たまらなく嫌だった。


